浮川初子先生の歩みから学ぶ「チャレンジし続ける姿」

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全6回の講演が行われる「とくしまフューチャーアカデミーDX2022」。

第4講は、「女性プログラマー・起業家として ~IT の進化とともに歩み続けた 40 年とこれから~」というテーマで、株式会社 MetaMoJi 代表取締役専務の 浮川 初子 さんにご講演いただきました。

講演中の浮川さん、これまでのあゆみについて笑顔で話す姿が印象的。

初子さんの半生について「鈍行列車に乗って」振り返る

「一太郎」や日本語変換ソフト「ATOK( エイトック )」の開発で一世を風靡し、70代の現在も新しい技術の開発を楽しんでおられる、女性 IT 技術者の草分け初子さん。

講演では、約1時間30分で、これまでの歩みを一つ一つ「鈍行列車に乗って」振り返りました。

「楽しむ」ことの価値

小学生のときの初子さん。3月生まれということもあり、周囲の子に置いて行かれる経験もした。

幼いころの初子さんは、小学生時代の自分について、大人しく、引っ込み思案だったと振り返っています。

3月生まれで、他の人より小さかった初子さんは、小学4年生まで、勉強ができず「できんぼ」と周囲から言われていました。学校の知能試験ではいい成績を取っていた初子さんでしたが、病弱だったこともあり、勉強が思うようにうまくできない日々を過ごしていました。

 

そんな初子さんを変えたのは、家庭教師である「津嘉山先生」との出会いです。

講演中の映像で登場した津嘉山先生。

算数を初子さんに教えていた津嘉山先生。「無理強いしないこと」を意識した先生の教え方は楽しく、初子さんはそれまで苦手だった算数が得意になりました。その後は、授業中に計算の速さをクラスメイトと競って楽しむなど、勉強自体を楽しいと感じられるようになったといいます。

「これまで数々の革新的なものを作り上げ、現在も世に広め続けている初子さんが、幼少期に引っ込み思案だった」ということは驚きですね。新しい技術や知らない分野のことほど「自分には向いていないかも」と感じて、時に消極的になってしまうことがあります。現在の生き方を楽しんでいる初子さんを目にすると、何かに「チャレンジ」するためにはまず「楽しむ」ということが必要なのかもしれないと感じます。

様々な経験が”自分の強み”をつくる

大学時代について。工学部は学年の中で唯一の女子という環境だった。

初子さんは愛媛大学の電子工学科出身です。機械語に1対1で対応する「アセンブラ言語」について研究しており。毎日、プログラミングに明け暮れる日々だったようです。

1972年、高千穂バローズ(現ユニシス)に入社した初子さん。

当時は大変珍しいベンチャー企業で、当時では考えられなかった「漢字入力を行えるマシン」等の研究を行い、先進的な技術を生み出す会社でした。大学で学んだアセンブラの知識を活かした、システムの開発を行いました。

そして結婚後は、姫路のオフコンディーラでSEとして勤務しました。そこでは今までしたことのなかった「お客様向けソフトウェアの開発」を行います。

初子さんは、「基本ソフト(アセンブラ)とアプリケーションの両方の開発をしていること」は自分の”強み”だと語っています。それらは大学時代と、高千穂バローズ時代、そしてSE時代の3つの経験の中で身についた”強み”だといいます。

「チャレンジ」の裏には、アイデアや情熱だけではなく、様々な環境で人と関わった「経験」があるということが分かりました。そして、「自分の”強み”を理解して行動につなげる」。そうすると、自らの力を最大限発揮するための場所を見つけられ、成功に近づくことができると感じます。

 

創業を後押しした「祖母の存在」

創業時を振り返るスライド。ジャストシステムは夫とともに実家の応接間から始まった。

その後、初子さんは夫とともにジャストシステムを創業しました。創業には祖母からの「これからは四国でもコンピュータが使われるようになるから」という言葉の後押しがありました。

創業から半年間、まったく売れない辛い日々を過ごしていましたが、初めてシステムを受注してくれるユーザーが現れました。ユーザーは種苗会社で、初子さん夫妻は当時は珍しかった「漢字でプリントアウトできるユニークなシステム」を納入。ユーザーのことを第一に考えたシステム開発は、この頃から行われていたようです。

それらの経験から、日本語ワープロが必要だと感じた初子さん。この思いが、現在でも愛され続けるワープロソフト「一太郎」の開発に繋がります。

1979年に、これからのコンピュータの普及を予測して、創業を後押ししようと思う人はどれだけいるでしょうか。後押しできた背景には、祖母が初子さんの仕事や、考えていることに関心をもち、敬意を払っていたことがあるのではないかと思います。自分の仕事や考えに興味や関心をもってくれる人の存在は、大切にしたいと思いました。また同時に、自分も誰かのチャレンジを後押しできる存在になりたいですね。

「チャレンジ」の秘訣を生で聞く、貴重な1時間

講演終了後は、参加者からの感想/質問を交換するセッションが行われました。

初子さんの歩みに関する質問や、これからのIT技術に関する様々な質問があり、初子さんがそれらすべての質問に、情熱的に応えていた様子がとても印象的です。

これまで社会で多くの「チャレンジ」を行ってきた、初子さんと直接考えを交換できる交流の場は、とても貴重なものだと感じました。

参加者にとって、これからの「チャレンジ」を力強く後押ししてくれる、充実した2時間30分となりました!!

【お問合せ】
㈱C Landmark(担当:藤田)が承ります。
E-mail : clandmark21@gmail.com
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令和4年度フレアキャンパス講座
当講座は、県立総合大学校「まなびーあ徳島」男女共同参画学部の主催講座です。
主 催:徳島県
受託者:株式会社C Landmark