今回のテーマは、2022年の流行語大賞にもノミネートされた「リスキリング」。
そもそもリスキリングってなに?
リスキリングとリカレント教育や学び直しってどう違うの?
リスキリングで、私たちの働き方はどう変わるの?
TFA-DX第ニ講は「リスキリング」の本当の意味を知り、どう活かすのかを考え、さらに実践の入り口に立つことができる3時間となりました。
学びのコツはアウトプット!
講師は、リクルートワークス研究所 主任研究員の大嶋寧子先生。
大嶋先生は、仕事と家庭を両立する人材の働きがいを促すマネジメント、人材育成に取り組んでこられました。また以前からリスキリングについて研究し、ロジカルシンキングの講座をされるなど多方面で活躍。『不安家族~働けない転落社会を克服せよ』などの著書もあります。
働きがいも感じて、生きがいも持つ。そんな日本の社会の在り方を後押しする大嶋先生。「双子の子どもたちを育てるなかで筋力を鍛えられた!」なんていう自己紹介で、先生をぐっと身近に感じることもできました。
TFA-DX第二講の内容は
1)リスキリングとは?
2)デジタルを味方につけるために!
3)周囲を巻き込むスキル
という盛りだくさんの3ステップ。
気合を入れて話を聞くぞ~と意気込むと、「座って聞くことでは学べない」と大嶋先生。
さらに続けて…
「突然質問することもあります!」ドキっ!
「大切なのは、正解を言うことや、レベルの高い回答をすることではないんですよ」えっ、そうなの!
「間違ってもいいから、自分なりの面白い意見を声に出して、みんなで学ぶ機会を増やしていきましょう」間違ってもいいのかっ。
失敗してもいいんだ!なんでも言ってみよう!と思えると、不思議と気持ちが楽になりました。
リスキリングってなんだろう?
「リスキリング」とは、単に新しいスキルを身に付けたり、学びを深めたりすることではなく、「新しい仕事のやり方や、新しい職務に『移行』すること」が前提にあります。
一方、「学び直し」「リカレント教育」は、知識や学びを得るための個人の活動や学習を指します。その結果、わたしたち一人一人の視野が広がり、働き方や生き方に影響を与えていくことができる、という考え方です。
「知識やスキルを高める」という点では共通しているけれど、一番の違いはその主体の違い。
「デジタル化は避けては通れず、これまでにない速度で人の仕事を自動化している。その状況に対応できるスキルを持ち、時代に合った働き方ができる人材を増やしていく」という社会全体の取り組みそのものが”リスキリング”なのです。
リスキリングは働くすべての人の課題
「人手不足が深刻化していくこれから、あらゆる企業がデジタル化・自動化を進めていく。デジタルを活用しないと企業が成り立たなくなっていく」という厳しい一言もあり、リスキリングってやっぱり少し難しいことなのかも・・・そう思った次の瞬間、
「働く私たちにとってのリスキリングは、デジタル化・自動化された”新しい仕事”への対応力だけではありません」と大嶋先生。
「私たちの生活のなかには不自由や課題が必ずあります。そして”デジタル”は、直面している課題を解決するための可能性が詰まっています。だからこそ、”デジタルの可能性”を知っていることで、課題の見え方ががらりと変わっていきます。『大変だけど、どうしようもうないよね』とこれまで諦めていたことが、『もしかしたら解決できるかもしれない!』に変わるチャンスが眠っているのです」。
大嶋先生のヒントをもとに、具体的に身近な”困りごと””悩み””問題”を考えてみると、これらがデジタルの力で解決できたらどんなにいいだろう!と思えることがたくさんありました。
考えてみよう!身近な”問題”と”課題”
インプットのあとは、ワークでアウトプット。
ワークシートを活用し、いまある身近な”問題”と”課題”を明確にしていくグループワークに取り組みました。
TFAーDX2022は本格的にスタートしたばかり。今回初めて顔を合わせたという人たちがほとんどですが、そんななかで、お互いに”個人の気付き”や”日常のなかで気になること”を出し合いました。
さらに、ワークシートに沿って「誰が困っているのか」「理想的な状況はなんだろう」「どうすれば解決できるだろう」と深掘りにトライ!
「高齢の方に”ホームページで見てください”は不親切」「自治会参加者が少ない」「列車の運行が少ない」といった身近な問題も、理想とのギャップに焦点を当て、クリアすべき課題はなにか!?を考えていくワークは、頭を柔らかく、視点を広く持たないとなかなか難しいものです。
でもそんなときこそ、「ワークでは、間違いでもいいから思いや主観をどんどん口に出してアウトプットしてください」という大嶋先生の言葉を信じて、とにかく口に出す、ことばにする、にみんなでチャレンジしました。
「自分の身近な課題」を一人一人が考え、伝えたあとは、その課題解決に周囲を巻き込んでいこう!という一番重要なステップに突入です。
伝えることの目的は、相手を動かすことである
「ではその課題に取り組むために、どうすれば相手を動かすことができると思いますか?」という大嶋先生の問いかけに、みんながふっと立ち止まりました。
とても重要な課題があっても、ほかの人に理解してもらえなければ状況を変えることはできません。本当に解決したいと思ったら、そこには力を貸してくれる仲間も必要です。
でも世の中には自分と考え方や価値観の違う人がたくさん!
そこで、目的を明確にし、その理由や方法を正しく人に伝えるスキルが必要になります。
「仲間を増やす」「みんなで課題を解決していく」ためにも、多くの人達にロジカルに伝える技術は欠かせないのです。
最後に再び、ワークシートを使って相手の心を動かす伝え方について具体的な実践ワークに取り組みました。
もうこのあたりでみんなの脳は沸騰寸前!!!
インプットとアウトプットを繰り返すなかで、参加者それぞれにさまざまな気付きがありました。
「ほんとうにその方法しかないのだろうか、と疑問が湧く」
「根拠を伝えるには、情報が足りない」
「具体的に伝えるためにはもっと掘り下げる必要がある」
あぁっ!どんなに考えても課題がてんこ盛り!
と追い込まれたような気持ちになったとき大島先生がこう言いました。
「問題意識が宝です。DXは、可能性を知り、課題に気付き、解決に導く入り口です」
20名の参加者一人一人が
「私たちが気付いて動き出す!それがDXへの一歩なんだ!」
とはっとした瞬間でした。
個人の気付きが社会を変える
たくさんの情報と知識を届けてくれた大嶋先生の最後の言葉は、「ひとり一人の小さな気付きでこれからの社会をつくる人になっていってください」という私たちへのエールでした。
社会を変える人になるなんていうと、とてつもなく気の遠くなるような感じがしますが、「気付いて動く」ならきっとできる気がする!と思うことができました。
学びを得る「インプット」と、ワークをしながら実践につなげる「アウトプット」の連続で、あっという間の3時間!!!
大嶋先生、たくさんの発見と前に踏み出す勇気をありがとうございました。
さて、TFAーDX2022は、学びをそのままにしない!がコンセプト。参加した人に徹底してアウトプットの場をつくっていきます(大嶋先生直伝です(笑)✨)。
学びをもっと深めるためのリフレクションは25日金曜日開催
TFAーDXでは、毎回セミナーの翌週金曜日に、「リフレクション」を設けます。
リフレクションでは、zoomやLINEなどのデジタルツールの具体的活用法をお伝えし、新しい知識の学びの場を設けます。さらにセミナーでの気付きや、その後の自分の変化を伝え合う交流の場にしていきます。
今回のセミナーで大嶋先生が最初に伝えてくださった「学びのコツは『アウトプット』」という言葉を実践できるチャンスです。
リフレクションに参加して、ぜひみなさんのリアルな思いを聞かせてくださいね。
初回のリフレクションは、11月25日金曜日20時~21時です。
参加者のみなさんと一緒にアウトプットできることを、運営スタッフ一同楽しみにしています。
当講座は、県立総合大学校「まなびーあ徳島」男女共同参画学部の主催講座です。
主 催:徳島県
受託者:株式会社C Landmark